TABATAトレーニング
月刊スポーツメディスン2015年2・3月合併号に
TABATAトレーニングの特集が載っていました
http://www.bookhousehd.com/msm/booksq168.html
TABATAトレーニングについて解説している
日本語の単行本は見当たりませんし
出版社の紹介ページにある特集頁例のpdfだけでも
まとまった情報があるので一読の価値がありますから
今後一冊まとまった単行本が出るまでは即買いの資料です
さて、そのTABATAトレーニングの実際ですが
非常に効率的で、科学的根拠がしっかりしているにも関わらず
手軽さ故にか田畑教授も辟易するほどふわっと行われています
せっかく科学的根拠のあるトレーニング方法ですから
効果的に実施するためにも
まずはベースとなるメニューの概要を把握しましょう
TABATAトレーニング
強度:最大酸素摂取量の170%
内容:20秒運動ー10秒休憩
回数:6~7セット
脂肪:さほど燃焼しません
- 強度について その1「20代なら心拍数180拍/分を目安に」
『最大酸素摂取量の170%』と言われてもピンとこないかもしれません
なにせ100%を超えていますから
「アスリートにしかできない強度なのではないか」とか
「素人がやったら体に悪いほどの高負荷なのでは・・・」
と、市民トレーニーは心配が絶えないようで
熱心にトレーニングをする人の場合なんか逆に
「死ぬほどキツイけど俺のTABATAトレーニングは偽物なんじゃないか」
などと運動強度に一憂しているようです
実は「20代なら心拍数180拍/分を目安に」という
田畑教授からの分かりやすいアドバイスがありまして
これを目安に使うことで運動強度に関する懸念は解消できます
・・・しかし180拍/分は10秒で30拍なので
トレーニング中~後に手で正確に測るのは不可能です
もしも心拍計を持っていない場合
Bluetoothsmart規格に対応したスマートフォン(iPhone4s以降など)をお持ちなら
amazonでkaradafitHeart心拍センサー HRM-10
という非常に安価(3500円)なBluetoothsmart心拍計があるので
無料アプリと合わせることで相場最安の心拍モニターとなります
どこのメーカーのものでも大丈夫ですが
リアルタイムで数値の分かる心拍計は
TABATAトレーニングの正確な強度の確認に必須です
※iPhone対応とありますがBluetoothsmart規格なのでNexus5でも使えました
- 強度について その2「単純な運動で強度を維持する」
一般の方は固定自転車が田畑教授お勧めです
しかし目標の心拍数を維持できればどんな運動でも良いので
もっと手軽にという方は
・スクワット
・ランニング
・バーピー
などの器具を使わないトレーニングでも十分心拍数を上げられます
どんな運動でも良いとはいえ複雑な動作の種目を選ぶと
疲労時に心拍数の維持が難しくなりますので
「単純な運動で強度を維持する」と
「安全に行えること」が何よりも重要です
疲労困憊になるので屋外で行う場合は事故に気をつけましょう
坂道ダッシュなんてやると頭がフラフラしますので車に注意
我が家は室内でローイングエルゴメーターを使っています
エルゴメーターの利点は記録の管理が楽ってとこですかねぇ
- 内容について 「20秒の最大努力ー10秒の休憩」
トレーニング選びと内容が前後しますが
20秒の全力運動をするためには10秒の全力休憩が必要です
ランニングでは10秒だけ急に止まれないので流すことになりますが
その他のトレーニングでは10秒間きっちりと休憩できるので
心拍数を目安に各セットで最大努力の運動を目指します
後半は出力も落ちて動きもバテバテになりますが
気を抜くと心拍数が落ちるので180拍/分のキープを心がけます
- 回数について 「論文に書いてあるのは6~7回」
効果が保証されているなら
キツイしセット数は少ないに越したことはありません
にも関わらず論文から1セット増えている理由は
・・・ちょっとよく分かりません
スポーツメディスン試し読みのPDFで読めるp13では
酸素摂取量のグラフが8セットの結果で作られています
p12の文章を見ると
そもそもの生みの親である入澤先生の行っていたトレーニングが
7~8セットであったとも解釈できます
しかし田畑教授本人が
「論文には6~7セットと書いたのに8セット行うケースが多くなっている」
と若干呆れ気味であることと
「若者は6セット行って心拍数が180拍/分になるのがよい」(p20引用)
と8回どころか6回でも十分と言えるアドバイスを出しています
※一方で心拍数が160拍/分にも届かない場合
効果はあまり期待できないと、強度の重要性も説明しています
実体験としましては
6セット目を終えた時点で心拍数180拍/分超だと
続く7セットではたとえ満足に動けなくても180から下がりません
インターバルで休んでる間もです
なので実は今も惰性で8セットやっていますが
6セット目をファイナルセットとして後はオマケな感じです
もう少し資料が集まったら8セットもやらないかもしれません
- 脂肪について 「脂肪燃焼に効果があるというエビデンスはない」
TABATAトレーニングをダイエットに使いたい人には悲報ですが
併せて筋肥大トレーニングを行っている人には朗報かもしれません
標準的な有酸素運動では脂肪と共に筋肉も落ちてしまうので
増量したいトレーニーは有酸素運動なぞしたくないわけですが
TABATAトレーニングならば脂肪がそこまで落ちないので
安心して心肺機能を鍛えられます
- まとめ
分かりやすい20代向けTABATAトレーニング
強度:6セットやって心拍数が180拍/分
内容:20秒運動ー10秒休憩
回数:6~7セット
脂肪:さほど燃えない(よい意味で)
- TABATAトレーニングのふしぎ(おまけの私見)
心拍数180拍/分という強度は絶対に無理というほどでもありません
普段運動しない人でも心拍計をつけていれば
駅の階段を駆け上がった時や
近所の坂道を駆け上がった時に
170~180に達した自分の心拍数を見れたかもしれません
坂道ダッシュや階段ダッシュで心拍数は極端に上がります
しかし『最大酸素摂取量の170%』と言われると
途端に超人向けのトレーニングだと思ってしまいます
「TABATAは毎セット死ぬ気でやらなければいけない」と
強度の目標も分からず闇雲に己の限界を20秒に叩きつけて
それを8セットも繰り返すとなると
そりゃ心も折れるでしょうし
実行不可能な机上の空論だと言いたくもなります
実際に「6セットで心が折れたから諦めた」という話もありました
残りの2セットが実行不可能なほど
非常に高強度なトレーニングを行えたのでしょうが
本来6~7セットが目標なのでしっかりセット数をこなせています
逆に「今日はTABATAを3回もやっちゃったよHAHAHA」
というこれまた強度の設定を間違えている話が
ミスリーディングの典型例として載るほど(p3)
TABATAは理解が進まず
謎のトレーニング扱いされていることもあるようです
今回の記事で運動強度の確認に心拍計を猛プッシュしましたが
各メニューをこなすだけなら無くても問題はありません
しかし頑張り過ぎないためにも、サボりすぎないためにも
正確な運動強度の確認が重要ということは
上記2つの例から見えてくるのではないでしょうか
記事も最後になりますが
TABATAトレーニングはしっかりと行えば目に見えて効果が出ます
元々体力不足で高かった安静時心拍数が
70台前半から一ヶ月で50台後半に下がり大変驚きました
ゲーム感覚で自分の数値をパワーアップ出来る感じです
・・・まるで深夜通販の1コーナーの宣伝みたいですが
「体力を高めて日々の生活を活発にし、
それが人生に良い影響をもたらすものだと考えていただければよいかと思います」(p2より引用)